2018年5月30日水曜日

6月の呼び名、jの展開、夏の始まり

この前SaToAのライブに行って知ったんですが、彼女ら自主レーベル立ち上げてたんですね。
で、レーベル名の「ケサクータ」を冠した自主企画「ケサクータマーケット」を6月23日にThreeで開催するそうです。

で、ライブのMCでそのイベント紹介する時に、「ケサクータってゆうのは、6月って意味で…」って話してて、えええ???どこの国の言葉だよ???ってなりました。

だって、6月って、自分が知っているようなたいていの言語では全部語源いっしょってイメージだったので。


【ユノー】
けだし、ローマ神話に出てくる女神「ユノー」の名前から来ているやつです。ユノーっていうのはローマ神話の12神のひとりで、ユピテル(木星ジュピターの語源で知られる12神の一人)の妻。結婚の守護神かなんか。どうして6月がその女神の月なのかはしらんけども、とにかくこのユノーの名で6月を呼ぶ国は、語族を超えて、いっぱいあります。

- 「ユ」
ローマ神話の生まれたラテン語では6月Iuniusと書きます。たぶん「イウニウス」みたいな感じの発音。この「イウ」の部分は、素早く言うと「ユ」に聞こえるよね。この「イウ/ユ」の発音で始まる名まえで6月を呼ぶ言語は例えばギリシャ語のΙούνιος [Ioúnios]とかロシア語のиюнь [iyun']みたいにいろいろな文字体系で存在するんだけども、ローマ字を使用する言語の場合、大きく分けて3種類の記述パターンがある。

① iu
ラテン語と同じ綴りね。ラテン直系のルーマニア語Iunieとか。ハワイ語のiuneとかも。

② ju
jをヤ行で発音する国は多いですよね。オランダ語とかスウェーデン語のjuniがそれ。インドネシア語のJuniとか、ヨーロッパ以外の言語でもよく出てくる。

③ yu
ヤ行の発音であることから出てきた亜種のような感じでしょうか。ハウサ語のYuniとかがそれにあたる。まあでも基本的には多くの国ではjを用いてつづられているよね。

- 「ジュ」
前述のjを用いてつづられる語が、ヤ行じゃなくてジャ行で発音される国がめっちゃありますね。英語のJune、フランス語のjuinとかがそれ。
このジャ行の発音から綴りが変化して、イタリア語みたいにgiugnoってなるパターンも。

- 「フ」
さらに、jを用いてつづられる語が、ファ行(なんだそれ)みたいな発音になる国もある。

① ju
スペイン語のjunioは「フニオ」みたいな発音になるのかな。

② hu
この「フ」の発音に合わせてhuで綴る言語も多くあるようです。セブ語(セブアノ語)のHunyoとかがそれですね。


これらのほかにもガリシア語のXuñoと書いて「シューニョ」と発音するのかな、であったり、微妙にいろいろ違えども、ユノー語源の呼び名がとても広く流布している。

それからスラヴ系ではユノー以外の語源の呼び名でポピュラーなのがありますね。

Червень
チェルヴェーンみたいな発音です。
「チェルヴ」っていうとなんとなく紅色的な意味合いの語幹のイメージですが、どうして六月にこの赤っぽい呼び名がついているのかは諸説あるようです。
ウィキペディアによると赤色の塗料の元になる虫がその時期いっぱい発生するからとか、その時期に赤い木苺がいっぱい成るからとかそんあようなことがかいている。
ポーランド語のczerwiecであったり、チェコ語のČervenとかがこの仲間です。
自分の中の感覚だと6月に赤のイメージ全く無いけどスラヴ圏の6月は赤っぽいんですね~。

とまあ、アジア系言語とかアフリカ系の言語だと全く状況しらないけど、1年を12ヶ月で数える暦事態が西洋のものだから、アジアとかでも西洋の呼び名を概念と共に外来語として輸入してることがおおいし、基本、ユノーとチェルヴだけ押さえておけば、知らない国の言葉でも、あ、今の単語は6月って意味だなって大体あたりがつく。


ここへきて。
ケサクータですよ…。
もう、なにがどうなってそんな呼び名なのか検討もつかん…
突然変異過ぎるだろフィンランド語かよw

って思って調べたら…。


フィンランド語だった…。

…。
月の名前くらい勉強したはずなのに、全く覚えていないという(涙)

kuuはお月さまのことですね。
語尾は属格変化かなんかですね(よく覚えてない)
じゃ、ケサってなんだろう???

と思って調べたら、フィンランド語や言語ネタ毎日更新の、シロクマさん(て勝手に呼んでる)のページに丁寧な解説がありました。


さすがシロクマさん!頼りになる!!いつもお世話になっております。

てことで、kesäkuuは「畑をすき直す月」ってことなんですね。

え、ちょとまって、畑を「鋤く」って、耕すのと何が違うんだろう??

goo辞書みると、「鋤や鍬で田を耕すこと」って書いてますね。…だから結局耕すと何が違うんじゃ。
しかしよくみると(「透く」とどう語源)の注意書が。なるほど。透き通らせるみたいな意味合いが強いのかもね。冬中放置して無軌道に張った雑草とかの根とかを、鋤でぶちぶちきって、土を柔らかくして、新しい種からの根がよく地面に広がれるようにするのですね。

まあ、耕すっていうと、肥料とかまいたりとか、そういう、畑の土作全体をさす意味なのでもうちょっと広いけど、鋤くだと、土の中の遠しをよくする意味合いが強いのでしょう。たぶん。


ううむ、そうか。
この6月ひとつきで、今年も半分終わるのだよね。この半年で、放置し放題なっているいろいろなことものに鋤をいれて、後半の豊穣に繋げたいところ。
ちょっといろいろ、鋤き直してみようかね。

kesäは、フィンランド語で「夏」の意味でもあります。もう、夏が始まるのですね。