2022年10月19日水曜日

そんなに食べない

日本語サークルメモ 3

池袋の日本語サークル 「日本語で話そう」(詳細→)でのメモ。


指示代名詞「これ」、「それ」、「あれ」の使い分けは、指示しているモノが誰の側に属しているかで決まる。

これ:話者の側にあるものを指す
それ:話している相手の側にあるものを指す
あれ:話をしている人たち以外の側(遠くや過去)にあるものを指す

こんなに~ない = これ + ほど + に~ない
そんなに~ない = それ + ほど + に~ない
あんなに~ない = あれ + ほど + に~ない
→具体的に指し示せるものと比較して、否定の程度を示す表現

こんなに食べない
→実際に自分の前に置かれた料理があって、その料理の量を指示して否定するときなど
そんなに食べない
→友達がご飯を食べようとしていて、「あなたも食べますか?」と同じ量のご飯を進めてきたときに、友達のご飯の量よりは少ない量じゃないと食べられないときなど
あんなに食べない
→となりのテーブルで食べている人のご飯の量をと比較していうときなど


第二の「そんなに食べない」
「それほど」や「そんなに」の場合のみ、具体的に比較対象として指すものが存在せず、漠然と量を否定するときにも使える。(「これ」や「あれ」は、具体的に指すものがないと使えない)
この意味の場合「そんなに食べない」、「(少しなら食べるけど)たくさんは食べない」とか、「少ししか食べない」という意味になります。


この第二の「そんなに」は、指示する対象が存在せず、否定する量が曖昧なので、実際には全く正反対の意味を暗に示していることも多いです。

「あなたは歌がうまいですね」などと褒められたときに「そんなにうまくないです」と、謙遜する表現として使われることも多いですが、実際には心の底では「うまくない」とは思っていないことも多いですよね。

テスト前に「勉強してきた?」と尋ねられて「そんなにできなかった」と答える人もたいてい十分に勉強してきていることが多いです。

あなたが待ち合わせに遅刻してしまい「ごめん、待った?」と尋ねた時に相手が「そんなに待ってないよ」と答えたとしても、ほんとはうんざりするほど長く待っていてとてもストレスが溜まっているかもしれないのであんまり安心できません。

「どれくらい食べる?」と尋ねて「そんなに食べない」と返事が返ってきたとしても、実際にどれくらいの量を食べるかはなかなかわからないことが多いかもしれません。





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